―― 今までどんなアルバイトを経験しましたか?
アルバイトする時は、いつも必ず目的があったんですよ。 一番初めにアルバイトをしたのは中2の時です。 お餅屋さんの閉店後、餅を入れる木箱を倉庫から出してきて、洗って、干すという仕事。年末12月28日から30日の3日間だけという短期間でしたが、1万5000円稼ぎました。 そのときは革ジャンがほしくて、お給料が出た31日にすぐに買いに行きましたね。 革ジャンの値段もちょうど1万5000円だったから、すぐに使いきってしまったけど。 その次にアルバイトをしたのは高2の時。 当時はバンドをやっていて、23万円のエレキギターがほしくて、朝は新聞配達、夜はレストランで調理補助の仕事をかけもちしていました。 ちょうどその頃は『口裂け女』の噂が流行っていた時期。 冬の朝はまだ暗いから、メチャメチャ怖かったですよ。 レストランではデザートを作る係で、パフェとかケーキとか作ってましたね。 時々、スパゲティなんかも作らせてもらいましたよ。 おかげで、その頃から本格的に料理するようになったかな。
―― 高校を卒業してからは、どんなアルバイトを経験しましたか?
高校卒業後は、ホテルにウエーターとして就職したんです。 でも、本当はコックになりたかったから調理場ばっかりのぞいてましたね。 料理もその時に教えてもらいました。 料理を出す順番や具材を入れるタイミングまで、結構細かく教えてもらえましたよ。 僕があまりにも料理に興味を持っていたから、閉店後に料理を練習できるようにと、料理長がわざと冷蔵庫の鍵をわかるところに置いて帰ってくれたりして。 『今日はここに置いとこうかな~』なんて言ってね。ありがたかったですよ。 でも、当時、車を買ったりして、ホテルの仕事だけじゃお金が足りなかったので、知り合いに紹介してもらって、祇園にある小さなスナックで夜中までアルバイトしていました。 19時に出勤して、鍵開けて、掃除して…。 1ヵ月のうち半分くらい働いていましたね。
―― それから、お笑いの道に入ったんですか?
ホテルは、調理場に異動させてもらえなかったので辞めたんですが、その後、当時コンビを組んでいた相方に誘われて、うめだ花月で舞台の進行係をやりました。
吉本に入ったのも、初めはアルバイトとしてだったんです。 そのうちに劇場の人から『開演10分前くらいに幕を開けて、勝手にネタをやってもいい』って言われたので、進行係の仕事をしながら漫才を始めましたね。
―― アルバイトをして、よかったことは何ですか?
僕の場合は、『やりたい仕事を経験できたこと』ですかね。 料理もそうでしたし、吉本に入るきっかけにもなりました。 あとは、年上の人と話すのが好きだったので、大人の人と話ができたことかな。 レストランでアルバイトしていた時は、休憩所で他の飲食店の先輩ともたくさん出会えたんです。 料理以外のことも色々聞きました。 そこで聞いた大人の意見を、翌日友達にそのまま話したりすると、僕を見る目が変わって優越感がありましたよ。 普通に学校だけ通っていたら分からないような話を知ることができるわけですから、とても楽しかったし、勉強になりましたね。
―― 今まで経験したアルバイトの中で、一番心に残っているのはどんなことですか?
新聞配達の時に、配達先ですごい夫婦喧嘩を見たりするんです。 でも、新聞を届けると、さっきまで旦那さんに怒鳴られていた奥さんが、ちゃんと『ありがとう』って言ってくれる。 スナックのアルバイトの時には、課長だった人が社長まで昇りつめていくのも間近で見ました。 何て言うか、仕事を通じて『他人の生活や人生を色々垣間見ることができた』っていうことですかね。 人や物事に対する好奇心や、『あの人だったらどう見るんだろう』『こう見たら面白いんじゃないか』と自分なりの視点を持てたことは、芸人として、構成作家としての今の自分につながっていると思います。
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