鉄拳(てっけん) 20XX年からやってきた超未来戦士。ヤングマガジン「ちばてつや賞」受賞、元FMWプロレスラーという経歴を持ち、現在はスケッチブックを武器に、この世の様々な現状についての独自の考察を披露。ライブやTVで活躍中で、作品集「こんな○○は××だ」は1~3巻までの累計販売部数70万部を超える大ヒットをとばした。
―― 初めてのアルバイトはどんな仕事でしたか?
高校生の時、近所の湖の貸しボート屋ですね。 僕は釣りが好きで、休日はその湖でよく釣りをしていたんです。それでいつものように一人で釣りをしていたら、ある日貸しボート屋のご主人に声をかけられて。初めてのスカウトです。 時給は300円と格安でしたが、一日中好きな釣りをしながらお客さんが来た時だけボートを出したりつないだりすればよかったので、楽しく働けました。途中からは釣りに没頭しすぎて、戻ってきたお客さんが自分達で岸にボートをつけて、きちんと杭につないで、と勝手にセルフサービスになっていましたね(笑)。 多分裏方としてひたすら作業するより、接客業の方が向いているし好きなんでしょうね。 その貸しボート屋は隣で食堂も経営していて、貸しボート屋では男の子が、食堂では女の子がアルバイトをしていました。みんなほぼ同年代で、毎日ワイワイと楽しかったですね。 その時アルバイトの若者を指導していたおじさんが、大阪弁の怪しい感じの人で。終始うさん臭かったですが、車でいろいろなところに連れて行ってくれたり、楽しいことをたくさん経験させてくれました。 ここでのアルバイトは本当にいい思い出です。
―― ほかにはどのようなアルバイトをしましたか?
夏場のダムっていうのもありました。これも釣り好きの僕を見込んでか、知り合いのおじさんのスカウトで(笑)。ダムの水面に浮かんでいる流木をボートで拾っていくんですが、僕は流木を拾いつつ、やっぱり釣りをしていましたねぇ。 ダムなんてもちろん釣り禁止だから、魚がうじゃうじゃいる上に、釣り人に慣れていないので何の疑いも無くすぐエサに食いつく。こんな絶好の釣りスポットは後にも先にもないですね。 それから、焼肉屋やコロッケ屋でも働きました。飲食店では見たくないところも結構見てしまいましたね…。 肉を焼く鉄板のすぐそばをネズミが走っていたり、コロッケ屋ではおじさんが汗をポタポタ垂らしながら具材をこねていたり。でも、このコロッケがおいしいんですよ。そんな調理現場を見ながらもついつい食べてしまうほどおいしかった。もしかしたら、そのおじさんのエッセンスがよかったのかもしれないですね(笑)。
―― アルバイトをしてよかったと思うことは何ですか?
ダムでは人ができない経験ができたと思いますし、ほかには、いろいろな人とのつながりや思い出が作れたことですね。 貸しボート屋と焼肉屋は、今の従業員達も僕が昔働いていたことを知っているので、実家に帰った時に立ち寄ると無料でサービスしてくれます。 「元従業員」ということで僕の写真も飾ってくれているんですが、いちおう僕は20XX年から来たことになっているんで…それはちょっとやめてほしいかなと…(笑)。
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