それからは3店連続でレンタルビデオ屋でバイトしましたけど、3店とも全部クビになりましたね。
最初の店では勝手にCD借りたのがバレてクビになりました。そこでは店員が無断でビデオとかCDを借りたりしていたんだけど、ある日店長に呼ばれて、「オマエ、無断でやってるだろ、訴えてもいいんだぞ」って。みんなもやってんのにって思ったけど、それは僕も言わないじゃない。その時にみんなが発起して「おかしいですよ、店長!三太だけ!」って守ってくれると思ったの。
でもさ、そうはならないんだよね(笑)。バイト同士で仲良かったけど「三太がクビになるんならオレたちも一斉にやめちゃおうぜ!」なんて、そんなあったかいコトにならないんだよね。実際は、みんな黙ってバイト続けるんだよな。まあ、新しいバイトを探すのも大変だからね。その晩に泣いた思い出がある(笑)。
でもそういう体験が「TOKYO TRIBE2」って作品に繋がっていくんですよね。漫画の中に理想郷を求めていったんじゃないかな。仲間とか、そんなあったかいコトがあればいいのにねって。
僕は映画が好きだったから次もレンタルビデオ屋でバイトしたんだけど、そこでは人と全然なじめなかったですね。“我関せず”って態度で働いていたら、ある日突然「クビ」っていわれました。「やる気がみられないから」とか、「人となじまないから」とかいわれて。これといった理由がなかったね。
バイト最後の日、ボクが店を出た瞬間に、あるバイトが「ああ、ホッとした」って言ったらしいです。その頃ボクは早くマンガ家になりたくってしかたなかったから、「こんなバイトは仮の場所だ」って思ってたんだよね。なんかそういう気持ちが態度に出てたんだと思う。そういうのって人に伝わるんじゃないかな。
次のレンタルビデオ屋でバイトしている時に、小学館のまんが新人大賞を取りました。バイトの休憩中に、編集部の担当者に電話かけたら受賞を教えられて。でも、すぐに連載を持てるわけじゃないので、まだバイトは続けていたんですけどね。 |